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Monday, July 16, 2012

ヨーロッパで研究

'The European Funding Guide for Researchers & Students in Japan'という冊子がPDFで公開されています。

EUによる比較的最近の情報です。渡欧のきっかけになる情報が見つかるかもしれません。

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Monday, November 21, 2011

ドイツでPhD - 'Organismal Biology'

 私が関わっているMax Planckの大学院プログラムの4月からの学生の募集が出ましたので、宣伝しておきます。

大学院のプログラム名にあるように「organismal biology」がトピックとなっていますので、生態学や動物行動学が主眼です。ゲノム学もこの一環だという考えもあることから私のチームも組み入れてもらうことができました。私の学生一人はこのプログラム内でPhDのためのプロジェクトを進めていますが、分野的にマイノリティなので、プログラム全体のイベントでは少しきつそうです。

ちなみに、今回は私のチームに加わる学生の募集は行っていません。

Sunday, September 25, 2011

教育から自分が「得る」ということ

先週木曜、金曜と、こちらの大学院プログラムのコースで講義・実習を行いました。 すでにいわゆる博士課程に入り、自分のPh.D.のプロジェクト、そして指導教官も持っている学生のためのコースでした。

大学院プログラムの名前は 'Chemical Biology' となっていますが、学際的なフォーカスというより、いまだうまく打ち解けないChemistryとBiologyが共存した構造になっています。そのため、化学専攻の学生がついてこれる、そして新たなものを得て帰れる内容にする必要がありました。

私は、分子生物学全般における進化的思考の重要さを 'homology' そして、'tree-thinking' という2つのキーワードで伝えるとともに、ゲノムアノテーションの実際と分子系統樹の実践的解釈法を講義しました。そして、遺伝子推定と軸としたゲノムアノテーションの実習を提供しました。

自分の担当分が、2日で計5時間。 他の2人の担当分も一部聴講し、準備も含めると、結構な時間をかけたことになります。

学部生の講義などの場合、よい講義をできれば、より多くの学生が自分の講義に興味を持ってくれて、結果的に、自分の研究チームに貢献してくれるかもしれない、という明確なモチベーションを持ってのぞむことが多いのです。対して、今回の博士学生対象の場合は、その面ではほとんど期待できませんでした。

しかし、今回の講義・実習では、講義内容の準備のための下調べ、学生の反応、そして何より、実習パートで学生が導き出したいくつかの新たな情報を総合して、自分が多くのものを得た気分に浸ることができました。こちらでの教育活動をはじめてからさすがに時間がたった分、全体の状況を把握しやすいし、いろいろな機会を前向きにとらえ、自分のものにしていくことができるようになってきたのだと思います。

これで、冬学期開始前の一大イベントが済んで、3週間後に冬学期がスタートです。そちらの講義からもいろいろ得られるように、いろいろアイデアを練っています。


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Thursday, August 25, 2011

ドイツの医療にお世話になる(2)

昨日分は、どうも多くのドイツ在住の方が 読んでくださったようです。

私は、公的健康保険と民間健康保険とを両方体験したおかげでいろいろなしくみとその背景を知るに至ったというのが現実です。しかし、もっと詳しい方はいらっしゃると思います。理解するのに時間がかかりましたが、なかなかわかる言葉で生きた情報に触れることができなかったせいで理解するのに苦労したのだと思います。年金や確定申告などのしくみも同様でした。

私のドイツ生活は5年目を迎えたのですが、これまで医者にかかることが多くありました。不健康だとは思いませんが、日本にいたときよりも、そして、私の息子、そして妻よりも間違いなくより頻繁に医者にかかっていると思います。

なかでも多いのは風邪の(あるいはそれに似た)症状でした。日本と違い、医者をおとずれても、たくさんの薬を処方してくれるということはありません。古くからのいわゆるホメオパシー(Homöopathie)の影響でしょう。こちらでは一般に、何らかの症状が出ると、かかりつけの医者(Hausarzt)をまず訪れるようにとよくいわれます。専門の医者へは、そこから紹介してもらえるわけです。私の場合、住んでいるアパートの真正面にかかりつけの女医(Hausärztin = ドイツ語ならではの女性形)がいます。あいにく彼女は英語が話せません。が、診療の際には私はなんとかコミュニケーションをとっています。

ドイツだけでなく、英語圏でも、一般の場面での別れの挨拶といえば、「また今度!」です。'Auf wiedersehen' であり、'See you again!' です。でも、診療の最後に、この挨拶をすると、また体調を崩すことを望んでいるようで、変ですね。日本語の場合は、こういう別れの挨拶は一般的でないので、考えたことがありませんでした。こういう場合、ドイツでなら、'Alles Gute' といっておくと気まずくありません。

風邪以外にも、突然体のいたるところに赤い斑点が出来た、首が回らなくなった、目がやたら充血、下痢が数週間止まらない、歯が砕けた、などいろいろありました。かかりつけの医者に紹介してもらうにせよ、そのつど、自分で電話で予約をとるところから、となります。私は職場では基本的に英語でいつも話す必要があり、ドイツ語が満足に話せるわけではありません。そして、ドイツ語ができたとしても、電話で医者に予約をとるのは(日本にいても)おっくうなものです。

ちなみに、ドイツではどうやら職場で一斉に健康診断をうけさせられる(うけさせてくれる)ということは一般的ではないようです。普段ドイツ生活に適応しようと必死で暮らしているあまり、メディカルチェックをおろそかにされてはいませんか?ここでは、自分から動かないと、調べてもらえません。しくみのうえでは、35歳以上になれば、公的健康保険の範囲で、かかりつけの医者に予約をとるだけで健康診断をしてもらえます('Checkup35'と呼ばれる)。ただ、ごく基本的な検査しか含まれないのと、細かい数値などはほとんど教えてもらえないうえ、ビールとソーセージの国だけあって、肥満かどうかの基準も、非常に緩いものになっていることに注意です。

医者にかかった経験を通し、研究者の視点から興味深いことがいくつかありました。ひとつは、健康保険の会員登録の用紙に、'Dr.' や 'Prof.' などを選ぶ項目があり、自分の健康保険の会員証には 'Dr. (博士)' と印字されることです。ですので、医者の患者カルテにもその情報が記載され、診療を受けると、医者は広い意味での同業者を見つけたうれしさ半分で「何の研究しているの?」と気軽に尋ねてきます。

えっと、日本では・・・・、自分から強く名乗らない限り、学術界を出ると学位など相手にされませんね。ドイツの状況はある意味公私混同ともいえますし、いずれ消えていく文化かもしれません。そして、なんと、銀行のキャッシュカードにも、'Dr.' と印字されます。こんなことで偉そうに振舞うつもりはないですが、学術というものが社会から尊敬されている、というか、守られていることを感じることができる一場面といえます(過去の関連記事もどうぞ)。


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Wednesday, June 29, 2011

Plagiarism 剽窃

タイトルにあることば、サイエンスの世界ではときどき話題にのぼりますね。いろいろなレベルのものがあります。

最近、ドイツでは防衛大臣がこれで職を失いました。ご存知でしょうか?博士号(Ph.D.)を欲した大臣が博士論文の多くの部分を盗用し、これがバレて失職したのです。これでもまだピンと来ない方は、こちらをどうぞ。(ちなみに、この記事を載せている「ニュースダイジェスト」は、ドイツで生活する孤立しがちな日本人を支えてくれている頼りになる情報誌です。イギリス・フランス版もあります。)

ここで、大臣にもなった政治家が博士号をステータスとして欲するということがひとつの驚きかもしれません。日本とドイツでの社会での博士号の扱いの違いが如実に現れたケースといえると思います。ちなみに、ドイツのサッカー協会(Deutschen Fussballbund, DFB)の会長Theo Zwanziger、博士号持ちです。「ものをいう」ドイツにおける博士号の話は、また後日。

さて、本題に戻ってPlagiarism。先日、フランスでのあるクローズドなシンポジウムでの食事の席でのこと。他の先生同士で何を話しているかというと、まさにPlagiarism。「どんなソフト使ってる?」とか、「こないだは60%盗作の学生のレポートを発見したわ」とか、「うちは、anti-plagiarism softwareを使うのに、学生の署名がいるんだ」などなど。

ご興味ある方、おすすめanti-plagiarism softwareはこれです(フリー)。日本語対応はしていないと思います。
このソフトのページにちゃんと書いてありますね。- 'To avoid plagiarism, you should always reference correctly according to your institution's guidelines ....'

Wednesday, June 8, 2011

'The PhD factory'

そういえば、4月21日号のNatureにPh.D.についての世界的な情勢を扱う記事がいくつか載っていました。
http://www.nature.com/news/2011/110420/full/472276a.html
http://www.nature.com/news/2011/110420/full/472280a.html
http://www.nature.com/nature/journal/v472/n7343/full/nj7343-381a.html
http://www.nature.com/nature/journal/v472/n7343/full/472259b.html
http://www.nature.com/news/2011/110420/full/472261a.html

異国でPh.D.

Ph.D.というのは、簡単にいうと「博士号」のこと。しかし、日本を出ると状況はいくつかの点で異なります。

日本に短期留学に来ている学生、あるいは海外での国際学会で知り合った学生、彼らの状況を尋ねてみて、よくわからない、と思ったことがある人も多いんではないでしょうか。

ドイツの場合、博士学生は、ドイツ語でDoktorand(女性はDoktorandin)といいますが、英語圏では、Ph.D. student あるいは とくに北米ではPh.D. candidateなどと言ったりします。もちろんドイツでも基本的に研究は英語主体でやっていますが、いくつかある呼び方のうち、私自身は、doctoral researcher という呼び方が気に入っています。この段階ですでに重要な発見をする「研究者」の立場にいるという意味で。

ここの大学の標準としては、博士学生は有給で、手取りで日本の学振DCよりすこし少ないくらいの額をもらっていると思います。契約書の上では、給与は「ポスドクの半分(具体的には「TVL13/2」)」という感じで書かれているはずです。ただ、税金を引かれる前の額について半分ということなので、手取りが半分というわけではないはずです。

給与をもらうのがあたりまえなら、その分、学生の自律性やプロ意識が強いのか?これについては、私は必ずしもそうとは思っていません。分野、研究室、学生によりけりだと思います。逆に、覚悟を決めずに博士を始めてしまうケースをより多く生みやすいと思っています。ちなみに、期間は最低3年が普通。この期間が伸びがちなのは日本も同じですね。

私のいる小さな街には日本人は少なく、そのおかげで、言語学の研究者に被験者として使われることがあります。それはそれで興味深いのですが、そこで知り合った学生に聞いてみると、言語学では博士学生が無給のこともあるとか。要は、研究室の状況などによるそうです。というのも、博士学生としての在籍登録と給与は別の話であって、給与ナシでも博士に進みたいという人はもちろん受け入れてもらえるわけです。supervisorにそれなりの予算があれば、有給となります。ドイツではいわゆる科研費に相当するグラント申請の際に博士学生の給与を含めて申請するのが一般的で、それが通れば、PI(ときにはポスドク)は特定のプロジェクト配属の博士学生が雇えるというわけです。

こういうスタイル以外にも、大学が出資する大学院プログラムや、学生が申請するscholarshipなど他の可能性もあります。これまで、私自身のグラントに絡んで、そして大学院プログラムを通して、何度か博士学生を募ったことがあります。私の研究チームに限らず、周りの状況を総合すると、日本からの応募は、ほぼ皆無です。インド、中国の勢いは例外視するとしても、韓国・台湾からの応募の頻度に比べて、明らかに低いのです。日本にいい大学院が多いことも原因のひとつでしょう。しかし、早い段階のキャリアももっと多様であってよいと思います。

大学の中での「博士号」について書いてみました。「博士号」がアカデミアの外でどう扱われているか、についてもいろいろ違いがあります。つづきは後日。