Monday, June 20, 2011

カリキュラムについての驚き

こちらでのPh.D.取得のおもなスタイルについては以前のブログで紹介しました。今日は日本でいう学部・修士レベルのシステムの話を書きます。

まずこちらに来て最初に戸惑ったのは、在籍年次の数え方でした。こちらでは、セメスター(semester)で数え、' I am in the fifth semester ' などと言うことがほとんどです。しかし、こうなると、一年に何セメスターあるのか知らないと何年目かわかりません。

答えは簡単で、4月~7月のsummer semesterと10月~2月のwinter semesterの1年2学期制です。最初の数ヶ月なんて、自分の契約や住まい選びのことで頭がいっぱいで、このような簡単なことがわかっていなかったように記憶しています。

ドイツでは、大学ごとの入学試験のようなものはなく、高校卒業時に行われる州ごとの一斉試験によって、大学入学資格(Abitur)が判定されます。ドイツの大学教員は、「入試」に悩まされることはありません。

不思議なことに、入学したての学生でも、「教養」の授業など受ける必要はありません。例えば生物学専攻の学生なら、1年目に化学、統計学など関連する授業を受けることになりますが、いわゆる文系の授業は受けなくてよいようです。少なくとも、私はとくに自身の(日本の大学で)一年目に歴史学や言語学の授業を受けてよかったと思っていますので、これでいいのか、と思ったりもします。あと、語学としての英語の授業はありません。しかし、フォーマルなライティングの指導を早い時期に受けていると、研究論文を書いてもらうときに楽なはずです。ドイツ人学生の英「会話」能力が、一般に高いのは確かなのですが、書かせると実は話は違います。

サイエンスを志向する学生にとって肝心の卒業研究の期間はというと、

Bachelor(学部卒研相当)-3ヶ月間
Master(修士相当、旧制度での'Diplom')-9ヶ月間

と 短めです。とくに修士の学生は、6週間の実習を3,4つのグループで受けてから、卒業のための修士プロジェクト開始、となります。

そういえば、今年に入って、日本でも似たスタイルを導入する動きがあることを知りました。

“徒弟制度”や修士論文の廃止求める 大学院博士課程で中教審答申(産経ニュース)

私自身、これまでにBachelorを3人、修士相当を4人指導しましたが、上のような短い期間の指導で卒業させるのは楽ではありませんし、効率的ともいえません。ポスドクがいて、PIが任期なしの教授ならうまく利用していけるのかもしれませんが、そうでなければ、どうしてもアウトプットが小粒になり、戦略もないままこれを続けてしまうと将来につながりにくい気がします。しかし、これが現実ですので、どうか適応し、逆に良い面を生かすスタイルを創っていくことが重要なのでしょう。

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