Friday, July 1, 2011

「留学」- ビフォーアフター(2)

さて、表題のテーマで続けますが、(1)を書いたときにどう続けていくつもりだったか、はっきり思い出せません。でも、やってみます。

2項目に分けてリストしてみたいと思います。とくにこれから留学する方は、あとの項目に少し考えを及ばせられることができれば、生活は少し違ったものになると思います。

ビフォー:留学前に気になること

1.給料はどうなるのか?住居費・生活費はどのくらいか?
2.(家族のいる場合)家族の生活はどうなるか?配偶者の職は?チャイルドケアは?
3.日本でやり残した仕事(出版しそびれた論文)はどうしようか?
4.留学先での研究テーマをどうオーガナイズしていこうか?

アフター:留学中に気になること

1.当面の契約が切れたらどう食いつないでいこうか?どういうFunding Programのチョイスがあるのか?別のところに動くとしても、日本でなく、同じ国の他の場所あるいは第三国へという選択肢も現実的であろうか?
2.所属する研究機関の別のグループにいる自分と同等の立場にいる人はどう研究をオーガナイズしているだろうか?
3.留学先にいる間にこそしておくべきことはなんであろうか?訪れておくべき近隣の研究者などはいないか?
4.ときどき舞い込んでくる日本からの依頼をどの程度引き受けるべきだろうか?日本での学会にはどのくらいの頻度で参加しようか?
5.留学先の社会保険制度(健康保険・年金)をどう賢く利用するか?
6.為替レートはどう変動しているか?

(「アフター」というのは留学後、つまり日本への帰国後、という意味ではないことに注意)

ビブリオメトリクス - 出版・引用に絡んで

インパクトファクターやH-indexについて昨日書きました。そういう指数はビブリオメトリクスと総称されるのですが、わかりやすく説明しているスライドをみつけましたので、リンクしておきます。

Thursday, June 30, 2011

Career Day in Tokyo

HFSPとJSPSと東京大学の合同イベント 「ポスドク研究者のための国際的な支援制度」

DFG東京オフィスの人もトークをするようです。あとは英国。他の国の機関も参加すればもっと興味深いのですが。

こころに残ることば-論文出版とIF

学術雑誌に対する、2010年のいわゆる インパクトファクター が公表されました。インパクトファクターはあくまでも雑誌の注目度を示す数字であって、研究者個人の出版の評価には H-index など、別の数字を参照するべきなどとよく言われます。

2010年のインパクトファクターについて、極端な例を挙げれば、

Molecular Biology and Evolution : 9.872 -> 5.510 (2009 -> 2010)

Fish and Fisheries : 4.489 -> 6.434

など、一気に変動することもあります。これだけを指標とすることが妥当でないことがよくわかると思います。

評価方法やうわさ、いろいろありますが、論文の投稿作業にかかるときは、

「いい論文は、どこに載ってもいい論文」

という言葉をいつも思い出します。負け惜しみに聞こえそうでよくないし、これを盾にいろんなトライをすることを諦めてしまってはいけません。しかし、本当の意味での評価を放棄せず、内容を正しく吟味することが必要です。

Wednesday, June 29, 2011

Plagiarism 剽窃

タイトルにあることば、サイエンスの世界ではときどき話題にのぼりますね。いろいろなレベルのものがあります。

最近、ドイツでは防衛大臣がこれで職を失いました。ご存知でしょうか?博士号(Ph.D.)を欲した大臣が博士論文の多くの部分を盗用し、これがバレて失職したのです。これでもまだピンと来ない方は、こちらをどうぞ。(ちなみに、この記事を載せている「ニュースダイジェスト」は、ドイツで生活する孤立しがちな日本人を支えてくれている頼りになる情報誌です。イギリス・フランス版もあります。)

ここで、大臣にもなった政治家が博士号をステータスとして欲するということがひとつの驚きかもしれません。日本とドイツでの社会での博士号の扱いの違いが如実に現れたケースといえると思います。ちなみに、ドイツのサッカー協会(Deutschen Fussballbund, DFB)の会長Theo Zwanziger、博士号持ちです。「ものをいう」ドイツにおける博士号の話は、また後日。

さて、本題に戻ってPlagiarism。先日、フランスでのあるクローズドなシンポジウムでの食事の席でのこと。他の先生同士で何を話しているかというと、まさにPlagiarism。「どんなソフト使ってる?」とか、「こないだは60%盗作の学生のレポートを発見したわ」とか、「うちは、anti-plagiarism softwareを使うのに、学生の署名がいるんだ」などなど。

ご興味ある方、おすすめanti-plagiarism softwareはこれです(フリー)。日本語対応はしていないと思います。
このソフトのページにちゃんと書いてありますね。- 'To avoid plagiarism, you should always reference correctly according to your institution's guidelines ....'

Monday, June 27, 2011

不便か豊かさか

ドイツでは、日曜・祝日は店が閉まります。私の住む街では、飲食店と鉄道駅構内の店は除いてすべて。国の法律で決まっていると理解しています。ですので、他の街でもたぶん。

働いている人にとっては、食料などの買出しは土曜が大事になります。イースターなど祝日が固まっているときは、とくにカレンダーを頭に入れておかないと、大変なことに。

それでも日曜・祝日に外に出ると、太陽を浴びたり、家族や恋人と散歩をして 時間を過ごす人はたくさん。

この日曜の商店休業、ドイツは、他の欧州の国より徹底しています。店が休みだと、時間の過ごし方も大きく変わります。

Sunday, June 26, 2011

ドイツ版COE

日本でいうCOEのような大規模funding programがドイツにもあり、「Exzellenzinitiative (=excellence initiative」(こちらも参考に)と呼ばれています。

一般にドイツの教育水準は、南高北低といわれます。南のBayern州やBaden-Wuerttemberg州は水準が高いという意味です。このExzellenzinitiativeの選定結果こちらのほうがシンプルでわかりやすい)にも大きく現れています。

もちろんMax-Planck研究所など、別予算で運営されている研究所は選定の対象になりません。ドイツに来る日本人研究者の多くはMax-Planck研究所にお世話になるのでしょうか。詳しく知りませんがそうかもしれません。しかし、大学へ行くのなら、このような大学自体の持っている基本的なfundingの情報、留学前に調べてみるのもよいのではないでしょうか?ドイツでなくても、似たタイプのプログラムはあると思います。

私の勤務する大学も、私が移って半年後にExzellenzinitiativeに選定されました。そのときは、正直、何のことかよくわかっていませんでしたが、やはりいいことはいろいろありました。そのおかげで雑用も増えたような気もしますが。

4年ほど前に選定された大学は、第一期を終え、更新のための申請の準備期に入っています。第一期の成果を踏まえ、再検討が行われるのです。地図に印のある大学のいくつかは権利を失うだろう、そして、新たに選ばれる大学があるだろう、と言われています。

隔てられ、繋げられ

かつて「カズ」こと三浦和良は、(サッカーワールドカップで)「日本は世界に勝てますか」と記者に尋ねられ、「日本も世界なんですよ」と答えたそうです。