Friday, June 24, 2011

Heidelbergでのコース

EMBLでのコース Protein Bioinformatics Tools-Focus on Regulatory Proteins はまだ空きがあるそうです。

誕生日

私は本日誕生日を迎えました。自分でわざわざアナウンスするもんでもない、というのが日本人的思考だと思います。ですが、印象的なことがいくつかあったので、書いておきます。

近隣の教授はわざわざ私のオフィスをたずね、Congratulations!! といって握手を求めてきました。

研究室のメンバーは、各人のメッセージの入ったバースデーカードをくれました。

イタリア人の同僚は、「イタリアでは、誕生日の人はふつうは仕事を休む」とも。

こちらの感覚では、誕生日を迎えた本人は、日ごろの周囲のサポートに感謝し、 大事な人をもてなすのが普通のようです。誕生日を迎えた本人がケーキを焼いたり、パーティーを企画するのが普通です。

私は今年はどうしようか、と悩んでいます。


私の息子が通う幼稚園では、誕生日を迎えた子の親は、ケーキなどを用意して幼稚園に持っていくことになっています。同じグループの子を招待し、誕生日パーティが開かれるのです。週末にかかったり、担当の先生がいない日に当たった場合は、日を少しずらすことも。

欧州の他の国でもこういう習慣はあったそうですが、なくなりつつあるとか。そうなのです。誕生日は毎年同じだから、夏休みの時期や年末年始に生まれた子は、毎年決まって祝ってもらえない、不公平な習慣なのです。しかし、うちの子の幼稚園では続いています。

騙されてはいけない

「留学」について書きましたが、あえて追記。

「留学」それ自体がいいことであるとか、あるいは、それがいいかどうか判断できないのに、すごい、なんていうのはおかしなことです。

サイエンスでもそれ以外でも、なんだか欧米で行われていることが優れているように見えることはあります。とくにいま日本にいるとそうなのかもしれません。でも、物事そんなに簡単ではないことが多いですし、見えていない部分もたくさんあるはずです。

ドイツ・イタリアだって、フランスから電気を買っているのだとか、たとえば。

日本、そして日本人、優れているところがいっぱいある、ということを感じること多いです。今も。

Wednesday, June 22, 2011

「留学」- ビフォーアフター(1)

私のようなケースは「留学」と呼ばれるのか、よくわかりません。おそらくそうでしょう。

たいていはポスドクとして海外で2,3年やってみる、というケースが多いでしょうか。いっぽう、PIなら2,3年ではなかなかまとまった仕事にするのは難しいでしょう。

来る前に想像していたものと、現実、そしていま考える理想と、比較してみたらどうなるか?

実際は、来る前には想像できなかったことが山ほどあり、比較はできません。どういうことが想像できていなかったのか、そんなことを、同じようなキャリアを経験した先達から指南してもらえていたら、もっとうまくやれたのかな、なんて思うこともあります。しかし、すべての体験がオリジナル。それは、「留学」している間だけでなく、その先もずっと。

いまの苦労と充実を自分なりに消化し、単に忘れていくだけでは惜しいので、こうやって書いています。もし、欧州でPh.D.、ポスドク、PIをしたくて、疑問などある方は、ぜひご遠慮なく右のメールアドレスにメッセージを書いてみてください。何かのきっかけになるかもしれません。

今日の苦悩: 大学の事務の保険担当の人からメール。ドイツで払っている年金(強制)について。非常にややこしい話で書きませんが(いろいろ調べたので、長々と書けるのですが)、想像していなかった種類のことというのはまさにこういう類のことです。

そんなこんなで、落ち着きませんが、創造的なサイエンスを続けていきましょう!

Tuesday, June 21, 2011

グラント(研究費)申請についての驚き

こちらの大学では、大学からの直接の研究費の支給が充実していると思います。私は日本でいういわゆる「講座(Lehrstuhl、直訳?)」の一部として小さな研究チームを持たせてもらっているような状況なので、その大学からの研究費を直接受け取る立場にいません。ですので、正確な額や用途による内訳などは詳しく知りません。ただ、私のようなグループにも、少し違った種類の大学からの直接の研究費の支給は存在します。

これ以外に、内部の競争資金、そして外部の競争資金をとっていくことが大事です。研究プロジェクトを走らせるための人件費、コンピュータ、実験試薬だけでなく、出版費用、会議出席のための旅費なども必要です。

日本の学術振興会(JSPS)にあたる機関は、ドイツでは、DFG(German Research Foundation)と呼ばれています。ドイツ語では、「Deutsche Forschungsgemeinschaft」というのですが、ドイツ語ですから、この「Deutsche」という部分は、文のどの要素として置かれるかによって格変化します。

それはよいとして・・・・

一般の研究者がグラント申請する場合、通常「Sachbeihilfe」(「消耗品費サポート」のような意?)というカテゴリーに申し込みます。博士号を持っていれば誰でも申請できるはずです。この応募規定が驚きだったのですが

1.英語でも申請可(これは助かる。まぁ驚きは少ない)

2.申請フォームがない(A4で30枚までということと、含めなければいけない項目いくつかは規定されています)

3.締め切りがない!一年のいつでも申請可。審査は年4回。結果通知まで通常6-7ヶ月。

4.自分の給料を申請できる!(すべての場合に当てはまるわけではないが、条件が合致すれば、オプションとして)

5.博士の学生の(ポスドクも?)給料を申請できる(以前のブログ参照)。学生の実験補助アルバイトの給料も申請できる。しかし、技官・秘書の給料は無理。

6.若手枠みたいなものがなく、大御所の先生たちとも同じパネルで審査を受ける。

DFGのスタッフは積極的に学会の年会などに顔を出します。審査員の研究者と、ガイダンスの機会を設けたりもします。

もうひとつ

7.外国人はドイツ語学習の費用も申請できる。私はいま走っているDFGグラントをひとつ持っていますが、申請時になんだか面倒に思い、この費用を申請しませんでした。少し後悔しています。

Monday, June 20, 2011

カリキュラムについての驚き

こちらでのPh.D.取得のおもなスタイルについては以前のブログで紹介しました。今日は日本でいう学部・修士レベルのシステムの話を書きます。

まずこちらに来て最初に戸惑ったのは、在籍年次の数え方でした。こちらでは、セメスター(semester)で数え、' I am in the fifth semester ' などと言うことがほとんどです。しかし、こうなると、一年に何セメスターあるのか知らないと何年目かわかりません。

答えは簡単で、4月~7月のsummer semesterと10月~2月のwinter semesterの1年2学期制です。最初の数ヶ月なんて、自分の契約や住まい選びのことで頭がいっぱいで、このような簡単なことがわかっていなかったように記憶しています。

ドイツでは、大学ごとの入学試験のようなものはなく、高校卒業時に行われる州ごとの一斉試験によって、大学入学資格(Abitur)が判定されます。ドイツの大学教員は、「入試」に悩まされることはありません。

不思議なことに、入学したての学生でも、「教養」の授業など受ける必要はありません。例えば生物学専攻の学生なら、1年目に化学、統計学など関連する授業を受けることになりますが、いわゆる文系の授業は受けなくてよいようです。少なくとも、私はとくに自身の(日本の大学で)一年目に歴史学や言語学の授業を受けてよかったと思っていますので、これでいいのか、と思ったりもします。あと、語学としての英語の授業はありません。しかし、フォーマルなライティングの指導を早い時期に受けていると、研究論文を書いてもらうときに楽なはずです。ドイツ人学生の英「会話」能力が、一般に高いのは確かなのですが、書かせると実は話は違います。

サイエンスを志向する学生にとって肝心の卒業研究の期間はというと、

Bachelor(学部卒研相当)-3ヶ月間
Master(修士相当、旧制度での'Diplom')-9ヶ月間

と 短めです。とくに修士の学生は、6週間の実習を3,4つのグループで受けてから、卒業のための修士プロジェクト開始、となります。

そういえば、今年に入って、日本でも似たスタイルを導入する動きがあることを知りました。

“徒弟制度”や修士論文の廃止求める 大学院博士課程で中教審答申(産経ニュース)

私自身、これまでにBachelorを3人、修士相当を4人指導しましたが、上のような短い期間の指導で卒業させるのは楽ではありませんし、効率的ともいえません。ポスドクがいて、PIが任期なしの教授ならうまく利用していけるのかもしれませんが、そうでなければ、どうしてもアウトプットが小粒になり、戦略もないままこれを続けてしまうと将来につながりにくい気がします。しかし、これが現実ですので、どうか適応し、逆に良い面を生かすスタイルを創っていくことが重要なのでしょう。

「週末も夜も働け」?

どうあるべきか?私は、自ら納得しての行動であるべきだと思っています。きっかけが何であるにせよ。

何について書いているかといいますと、学術界での研究者の週末の時間の過ごし方についてです。もちろん週末に限定する必要はないのかもしれません。

自分が学生であったときのこと、そして、自分が学生を指導するいま。いろんなことを考えますが、結局場合によりけり。

やはり、具体的な事象を挙げて議論するのが実践的でしょうか?ということで、こちらをどうぞ。

1996年に書かれたこのレターは、昨年6月に、Chemistry Blogというサイトに公開されたのだそうです。 さまざまな反応がこれらのサイトに書き込まれています(こちらにも)。

「Industry(学術界のそと)ではあたりまえだよ」 「これが嫌で大学院やめたんだ」

など、いろいろ。

ちなみに、レターを書いた当の本人は、私も共同研究などのため時々訪れるチューリヒ工科大学に現役の教授として健在だとか。

あと、時間を忘れ没頭して神経を注いだ結果として、サイエンスでこそ味わえる発見の醍醐味があることも忘れてはいけません。

日本では「遅くまでやっている奴はもっと要領よくやって、早く帰ってリラックスしなさい」なんて言葉を聞いたことがありました。しかも、それでも残ってやっている連中はいるものです。いっぽう、欧州でこれを言ってしまうと、大抵のところでは、ほんとにラボから誰もいなくなってしまうでしょう。

Sunday, June 19, 2011

研究プロジェクトをどう選ぶか?

Molecular Cell という雑誌に、興味深い記事が載っていました。

この記事にあるように研究プロジェクトの性質を非常に体系的に評価しないとしても、難易度、新規性、そしてタイムスケールなどについて、客観的に把握しておくことが非常に大事だと思います。

このブログ、研究者でない一般の方も読んでくださっていると想定し、研究者の日常について感じ取れるようなこういう内容も書いていこうと思っています。