Thursday, August 25, 2011

ドイツの医療にお世話になる(2)

昨日分は、どうも多くのドイツ在住の方が 読んでくださったようです。

私は、公的健康保険と民間健康保険とを両方体験したおかげでいろいろなしくみとその背景を知るに至ったというのが現実です。しかし、もっと詳しい方はいらっしゃると思います。理解するのに時間がかかりましたが、なかなかわかる言葉で生きた情報に触れることができなかったせいで理解するのに苦労したのだと思います。年金や確定申告などのしくみも同様でした。

私のドイツ生活は5年目を迎えたのですが、これまで医者にかかることが多くありました。不健康だとは思いませんが、日本にいたときよりも、そして、私の息子、そして妻よりも間違いなくより頻繁に医者にかかっていると思います。

なかでも多いのは風邪の(あるいはそれに似た)症状でした。日本と違い、医者をおとずれても、たくさんの薬を処方してくれるということはありません。古くからのいわゆるホメオパシー(Homöopathie)の影響でしょう。こちらでは一般に、何らかの症状が出ると、かかりつけの医者(Hausarzt)をまず訪れるようにとよくいわれます。専門の医者へは、そこから紹介してもらえるわけです。私の場合、住んでいるアパートの真正面にかかりつけの女医(Hausärztin = ドイツ語ならではの女性形)がいます。あいにく彼女は英語が話せません。が、診療の際には私はなんとかコミュニケーションをとっています。

ドイツだけでなく、英語圏でも、一般の場面での別れの挨拶といえば、「また今度!」です。'Auf wiedersehen' であり、'See you again!' です。でも、診療の最後に、この挨拶をすると、また体調を崩すことを望んでいるようで、変ですね。日本語の場合は、こういう別れの挨拶は一般的でないので、考えたことがありませんでした。こういう場合、ドイツでなら、'Alles Gute' といっておくと気まずくありません。

風邪以外にも、突然体のいたるところに赤い斑点が出来た、首が回らなくなった、目がやたら充血、下痢が数週間止まらない、歯が砕けた、などいろいろありました。かかりつけの医者に紹介してもらうにせよ、そのつど、自分で電話で予約をとるところから、となります。私は職場では基本的に英語でいつも話す必要があり、ドイツ語が満足に話せるわけではありません。そして、ドイツ語ができたとしても、電話で医者に予約をとるのは(日本にいても)おっくうなものです。

ちなみに、ドイツではどうやら職場で一斉に健康診断をうけさせられる(うけさせてくれる)ということは一般的ではないようです。普段ドイツ生活に適応しようと必死で暮らしているあまり、メディカルチェックをおろそかにされてはいませんか?ここでは、自分から動かないと、調べてもらえません。しくみのうえでは、35歳以上になれば、公的健康保険の範囲で、かかりつけの医者に予約をとるだけで健康診断をしてもらえます('Checkup35'と呼ばれる)。ただ、ごく基本的な検査しか含まれないのと、細かい数値などはほとんど教えてもらえないうえ、ビールとソーセージの国だけあって、肥満かどうかの基準も、非常に緩いものになっていることに注意です。

医者にかかった経験を通し、研究者の視点から興味深いことがいくつかありました。ひとつは、健康保険の会員登録の用紙に、'Dr.' や 'Prof.' などを選ぶ項目があり、自分の健康保険の会員証には 'Dr. (博士)' と印字されることです。ですので、医者の患者カルテにもその情報が記載され、診療を受けると、医者は広い意味での同業者を見つけたうれしさ半分で「何の研究しているの?」と気軽に尋ねてきます。

えっと、日本では・・・・、自分から強く名乗らない限り、学術界を出ると学位など相手にされませんね。ドイツの状況はある意味公私混同ともいえますし、いずれ消えていく文化かもしれません。そして、なんと、銀行のキャッシュカードにも、'Dr.' と印字されます。こんなことで偉そうに振舞うつもりはないですが、学術というものが社会から尊敬されている、というか、守られていることを感じることができる一場面といえます(過去の関連記事もどうぞ)。


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